
ニューヨークを拠点とする現代美術家 松山智一(まつやま ともかず)は、2025 年 6 月 20 日(金)
より、ニューヨーク州ナイアックに位置するエドワード・ホッパー・ハウス美術館にて、個展
「Tomokazu Matsuyama: Morning Sun」を開催します。
本展では、エドワード・ホッパーの代表作《Morning Sun》(1952 年/コロンバス美術館蔵)へ
の現代的オマージュとして、絵画およびドローイング作品を展示します。孤独やグローバル化、
消費社会における人間の在り方といった、松山の制作に通底するテーマが、ホッパーの美学と重
なり合いながら新たな視座を提示しています。
本展の中心となるのは、新作の《Morning Sun Dance》(2025)。ホッパーの作品が映し出す
1950 年代都市生活の静謐な内面風景に対し、松山は現代の自己と空間、文化的消費との関係性を
再構築します。松山は次のように語っています。
「ホッパーの《Morning Sun》は、内省的な静けさと都市の孤独を象徴的に描いた作品であり、
彼の光や空間、孤独の捉え方は、私自身の絵画や『孤独との向き合い方』というテーマへのアプ
ローチに強い影響を与えています。」
ホッパーの作品では、簡素な室内に佇む女性が外の風景に目を向けていますが、松山の作品で
は、同様に瞑想的な表情を湛えた女性が、自らの内なる空間に目を向けています。その部屋に
は、犬やカルチャー誌、装飾的なソファが配置され、文化的背景を物語る要素が複雑におり重な
ることで、現代における孤独のあり方がより多面的に浮かび上がります。犬というモチーフは、
ロサ・ボヌールの《Toutou, le bien aimé》(1885 年)やヤーコプ・オフテルフェルトの《優雅
な玄関の看護婦と子ども》(1663 年)などにも見られるように、かつては所有や富の象徴でした
が、松山の作品ではそれがむしろ、孤独の意識を際立たせる象徴となっています。
また、ウィリアム・モリスのテキスタイルと日本の伝統文様を融合させた衣服で、異文化の交差
を象徴、壁に掲げられたモハメド・アリのポスターは、多様性や現代的な自己表象への共感を示
しています。視線の方向も、外の都市景観へ向かうホッパーの女性とは対照的に、松山の人物は
自らの私的空間へと向き合います。こうした差異は、現代における孤独のあり方の変容を静かに
語りかけます。
本展では、メインとなるキャンバス作品に加え、制作プロセスを示すドローイング、そしてホッ
パーの作品に登場する女性像を異なる視点から再解釈した作品 2 点もあわせて展示されます。
エドワード・ホッパー・ハウス美術館エグゼクティブ・ディレクター、キャスリーン・モーツ・
ベンニュイッツは以下のように述べています。
「本展は、時代を超えて共鳴する二人のアーティストによる対話です。松山の色彩豊かで重層的
な作品は、ホッパーの世界観の今日的意義を再考させると同時に、新たな視野をもたらしてくれ
るでしょう。」
本展は、ニューヨーク州芸術評議会および州知事室・州議会の支援のもと開催されます。
Tomokazu Matsuyama: Morning Sun
会期 :2025 年 6 月 20 日(金)〜10 月 5 日(日)
会場 :エドワード・ホッパー・ハウス美術館
開館時間・チケット・詳細につきましては、以下 HP をご参照ください。