
街に吹く風が、かすかに秋の匂いを運んでくる。それは、フルーツが一年でもっとも輝き、私たちの食欲を刺激する季節の始まりを告げている。
そして今年、フルーツラバーたちを歓喜させる特別なニュースが飛び込んできた。1885年に創業し、“高級フルーツ”の絶対王者として君臨してきた新宿高野が、なんと140周年を迎えるのだ。
この記念すべきアニバーサリーを祝して、本店限定で登場するのが、まるで宝石箱のようなケーキ「ブラスト ~静岡県産マスクメロン~」。 みずみずしさが滴り落ちそうな静岡県産マスクメロンを贅沢に使い、本店限定のなめらかな生クリームと、しっとり焼き上げたスポンジで仕上げた、まさに夢のような逸品だ。
これまでメロンと真摯に向き合ってきた新宿高野だからこそ辿り着けた、**“果物の王様”**を余すところなく堪能できる、究極のケーキ。 この特別なケーキは、10月1日(水)から新宿高野本店B2Fのケーキショップで販売される。
直径12cm、税込7,992円という、そのサイズも価格も、140年という歴史が刻まれたブランドの誇りを物語っている。

なぜ、マスクメロンなのか? 知られざる新宿の物語
「なぜ、このケーキはマスクメロンなの?」そう疑問に思う人もいるかもしれない。実は、その背景には、新宿とメロンの知られざる深い物語が隠されている。
時は明治時代。**内藤新宿試験場(現在の新宿御苑)**に、海外からメロンが持ち込まれた。そこで温室技術と品種改良の研究が重ねられ、やがて「マスクメロン」という新しいフルーツ文化が、日本の食卓に深く根を下ろしていくことになる。
新宿高野は、1919年にそのマスクメロンを高級ギフトとして販売を開始し、日本の“メロンを贈る文化”を築き上げた。 つまり、このケーキは、新宿という街がマスクメロンと共に歩んできた100年以上の歴史を、一口に閉じ込めた記念碑なのだ。
秋の主役!個性豊かな葡萄たちの饗宴
この秋の物語に欠かせないのが、もうひとりの主役**――葡萄**だ。 新宿高野のシンボルマークは、創業当時から使われてきた葡萄のモチーフ。これは、かつて「高級フルーツの象徴」だった葡萄が、今もなおブランドのDNAとして生き続けていることの証だ。
今年のラインナップは、山梨・長野・岡山から届いた、まるでスターのように個性豊かな6品種。
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サンシャインレッド(山梨) 「赤い宝石」と称される、鮮やかなルビー色をした新星。シャインマスカットの芳醇な香りに加え、紅茶やバラを思わせる華やかな香りが口いっぱいに広がる。皮ごとパリッとした食感もたまらない、期待の注目株だ。
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甲斐キング(山梨) かつて「ブラックキング」として知られた、漆黒に輝く王。一粒20gを超える圧倒的なサイズ感は、一口で頬張るのがためらわれるほどの存在感。ジューシーで皮離れが良く、濃厚でリッチな甘みが特徴で、まさに黒ぶどう好きを唸らせる品種だ。


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ピオーネ(岡山) 日本のぶどう文化を切り開いた“開拓者”。「巨峰」と「カノンホールマスカット」から生まれたこの品種は、大粒で紫黒色の輝きを放つ。爽やかな酸味と、滴るほどに濃厚な甘さのバランスが絶妙で、食べ始めると止まらなくなる美味しさだ。
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オーロラブラック(岡山) 岡山県が満を持して送り出した次世代の黒ぶどう。種がなく、皮ごと食べられる手軽さに加え、糖度が非常に高く、酸味はほとんど感じない。果肉は程よい硬さで、パフェやフルーツサンドなどの加工にも向く、可能性を秘めた新鋭だ。


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クイーンルージュ®(長野) その名の通り、女王の風格を漂わせる高貴な赤ぶどう。まるで透き通るような赤いドレスをまとった粒は、見る者を魅了する。シャインマスカットを親に持ちながら、それを上回るほどの濃厚な甘みが特徴で、食べた人誰もが「今までにない美味しさ」と絶賛するほど。
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ナガノパープル(長野) 深い紫黒色の輝きが、夜空に瞬く星のよう。栽培が難しいとされ、市場に出回ることが少ない希少な品種だ。種がなく皮ごと食べられるので、口に運べば、パリッとした食感の後に、芳醇な香りと、巨峰にも勝るとも劣らない濃厚な果汁が口いっぱいにあふれ出す。


これらはまさに、葡萄の進化と、生産者たちの情熱が詰まった、珠玉のコレクションだ。
140年の歳月が、いま、ひとつの果実となる
新宿高野の140周年は、ただの記念日ではない。それは、新宿という街が、フルーツと手を取り合って歩んできた時間の記録であり、これからも続いていく**「美味しさの文化」**の、新しい始まりを告げている。
静岡が誇るマスクメロンを贅沢に使った記念ケーキと、個性豊かな葡萄たちが織りなす艶やかな饗宴。それはまるで、140年という長い歳月が、ひとつの果実として熟し、最高の輝きを放っているかのようだ。
この秋、新宿で、最高に美味しい**“果実の物語”**を体験してみませんか?
森山顧問によるカッティングレビュー