いま、相模原が美味しい

「潤水都市さがみはらの酒」試飲交流会で出会う、極上の一杯

東京・丸の内の高層階。窓の向こうに広がる都心の景色を横目に、一口目のグラスがすっと喉を潤す。香り立つ吟醸、芳醇なアマーロ、フレッシュなクラフトビール──そのすべてに共通しているのは、“清らかな水”と“確かな土地の恵み”。

2025年9月11日、都心で開かれる一夜限りの美食体験。
潤水都市さがみはらの酒 試飲交流会」へ参加してきました。


水が美味しい街・相模原から、グラスに注がれる物語

相模原市は、神奈川県北部に広がる自然と都市が調和するエリア
市を流れる相模川、県内随一の水質を誇る道志川、そして相模湖・津久井湖・宮ヶ瀬湖といった湖群──これら豊かな水源が、酒造りにとって理想の環境をもたらします。

そんな相模原が掲げるシティコンセプトは「潤水都市さがみはら」。
清らかな水がまちを潤し、文化を育み、そして美酒を生む──

それをまさに“飲んで”体感できるイベントでした。


市長も登壇。酒を通じて語る、相模原の魅力

このイベントで挨拶を行った、相模原市長 本村 賢太郎(もとむら・けんたろう)氏
元衆議院議員であり、地元を深く知るリーダーとして、市民との対話を大切にし続けてきた人物です。

彼が語るのは「酒」そのものだけでなく、「酒がつなぐ人と土地のつながり」。
“乾杯”という文化の裏にある、相模原の風土と誇りを、心地よいトークとともに届けてくれます。


魅力の詰まった6つの造り手と出会う

 

この日、集まるのは相模原市内で酒造りを行う6社。
いずれも地元の水・素材・技術にこだわり抜いた造り手ばかり。
それぞれの造り手のストーリーと、その一杯が持つ“味の説得力”を、ぜひ実際に感じてください。

久保田酒造(日本酒)

 

久保田酒造(日本酒/相模灘)

神奈川県相模原市緑区の山里、丹沢山系の湧水が流れ込む静かな里に佇む蔵。弘化元年(1844年)創業という老舗でありながら、その味わいは時代に呼応してしなやかに進化を続けています。蔵の南側を覆う森が蔵を直射日光から守り、気温変化を穏やかにする自然環境も美酒を育む要素。


味わい・造りの特徴

  • 食中酒としての万能さ:冷酒から燗酒まで、あらゆる温度で楽しめ、「料理と重ならず、引き立てる」バランスが魅力。やさしい吟醸香と透明感ある口当たりが、食卓に自然に溶け込みます。

  • 米の旨みを生かす精米歩合:相模灘シリーズでは、美山錦・雄町・山田錦などの酒造好適米を使用し、それぞれの米の特徴を浮かせるように仕込んでいます。精米歩合は概ね約53%前後という場合もあり、米の旨みを残しつつ雑味を抑える工夫が各所になされています。

  • 吟醸造りへの忠実さと丁寧さ:蔵のモットー「基本に忠実な吟醸造り」が随所に活きています。麹造り・酒母づくり・もろみ管理など、製造工程のひとつひとつに手間ひまをかけており、その分味がきれいでありながら深い。

  • 蔵の立地と自然環境の恩恵:周囲が自然に囲まれており、気温の揺らぎが比較的穏やか。夜間の冷え込みが発酵や保管に良く、酒の香味のクオリティに直接影響を与えています。


👉 詳しくはこちら:久保田酒造 公式サイト

 

清水酒造(日本酒)

 

宝暦年間(1751年)創業。神奈川県相模原市緑区中野、津久井地域に根ざし、「良水」「ていねい」がモットーの老舗蔵です。県内でも最古クラスの歴史を持ち、その時間を重ねてきた味わいは、風味のひとしずくごとに“蔵の時”を感じさせます。


味わいの特徴

  • 「巌乃泉」は、程よくバランスが取れた甘・酸・辛の調和と、後口の切れの良さが光る一本。スッキリしていながら、余韻に米の旨味と穏やかな香りが残る。

  • 大吟醸・吟醸純米などの上位のクラスでは、香りの華やかさと米自体の甘みがより豊かになり、「やさしい芳香」が特徴。

  • 辛口タイプもあり、キレと透明感があり、食事との相性が非常に良い。特に和食や魚・繊細な味付けの料理と一緒にすると、お互いを引き立て合います。

蔵のこだわり

  • 創業以来「ていねいに造り、ていねいに売る」を心訓とし、工程ひとつひとつを妥協せず。寒仕込みや昔ながらの道具の使用など、伝統的な手法を守っています。

  • 水源への執着が深い。蔵の敷地内に複数の井戸を持ち、さらに山からの湧き水も取り込むなど、“酒を造る前に水を整える”ことに力を注いでいます。良水=素材の透明度につながるという考え方。

  • 地元での流通が中心で、「地酒中の地酒」と言える立ち位置。手に入れるのが難しい銘柄もあるため、蔵直売所や地元の酒屋で探す価値あり。

👉 詳しくはこちら:清水酒造 公式サイト

Kentoku Winery(ワイン)

 

神奈川県相模原市から、ぶどうの栽培も醸造もすべて「地元の土と風」で紡ぐワイナリー。Kentoku Winery(ケントク&エステートワイナリー)は、2015年から自らの農園でぶどうを育て始め、2021年に「さがみはらのめぐみワイン特区」を活用して果実酒製造免許を取得。相模原市内4か所、約7,000㎡もの自社畑を持ち、「純相模原産ワイン」を掲げて歩む、地域の新しい風です。 

味わいの特徴とラインナップ

  • 「MEGUMI(メグミ)」はフラッグシップキュヴェとして、ブラッククイーンを主体にサンジョヴェーゼやヤマ・ソーヴィニヨンをブレンドし、程よい酸・タンニンの輪郭を感じさせる赤。 

  • 地産地醸であること:ぶどう畑も醸造設備も“相模原産”で、外注に頼らず土地と気候を直接映すワイン作りをしているのが最大の魅力。 

  • 少数生産 & 手作り感:年間4,000〜5,000本程度という規模感で、ひとつひとつのボトルに造り手の想いが詰まっている。大量生産では味わえない“余韻の揺らぎ”を感じられる。

  • ラベルや体験全体の温かさ:ラベルデザインも地元の風景やぶどうの色を感じさせ、試飲会やペアリングイベントなどで「この土地で飲む意味」を味わえる演出がある。 


 

👉 詳しくは公式サイトでラインナップや取扱店をチェックできます:
Kentoku Winery 公式サイト

伊勢屋酒造

(リキュール/ジャパニーズ・アマーロ「スカーレット」)

 

 

神奈川県相模原市、甲州街道9番目の宿場町・小原にある築100年の古民家を再生した醸造所で生まれる、「スカーレット」はただ苦いだけではない。日本の草根木皮(そうこんもくひ=根・草・木の皮)と柑橘、スパイス、ハーブが複雑に絡み合い、香り・甘み・苦みの三位一体で“舌を覚醒させるアマーロ”です。古典的なイタリア・アマーロへの敬意を胸にしながら、日本ならではの自然の滋味を詰め込んでいます。製造から瓶詰めまでハンドメイド、その手仕事の温かさと個性がひと瓶ひと瓶に宿っています。

バリエーションと注目アイテム

 

  • スカーレット・ヴェルデアマーロ(Scarlet Verde Amaro)
    緑色(ヴェルデ)の草本系の強い特徴あり。ヨモギ、タンポポの根、セージなど野草を中心に30種類以上のボタニカルを使用。非常にフレッシュで草原を思わせる香り。 プレスリリース・ニュースリリース配信シェアNo.1|PR TIMES

  • スカーレット カスクマリッジ Batch #2
    基本のボタニカル構成は維持しつつ、ジャパニーズウイスキーの空樽で熟成(マリッジ)させ、より深みと複雑な樽香を持たせたモデル。甘さ・苦味・樽の香りの調和が感じられる、余韻のある一本。 バーをこよなく愛す、バーファンのためのWEBマガジン

  • 定番 “アペリティーヴォ”や “ラディーチェ”など
    オレンジピール・ジャスミン・マジョラム・ホップなどを使ったものや、根っこ系ボタニカルに重きを置いたものなど、それぞれに個性あり。苦味と甘みのバランス、香りのニュアンスがアイテムごとに異なる。

スカーレットは、単なる「苦いリキュール」ではなく、「自然の庭をひと瓶に閉じ込めたような」アマーロ。樽熟成や緑色シリーズなど、多様な表現を持ちつつも、いつも「草と根と柑橘とスパイス」が核にあって、それが飲むたびに異なるレイヤーを見せてくれます。飲み手が探求心を持てる、飲むほどに発見があるリキュールです。

👉 詳しくはこちら:伊勢屋酒造 Scarlet 公式サイト

Jazz Brewing Fujino(クラフトビール)

 

山あいの音が風と混ざる場所、相模原市緑区・旧藤野町にあるマイクロブルワリー。2018年5月、音響・農業のバックグラウンドを持つブルワー山口解(やまぐち かい)氏が、「地域に根差した音楽のような味わいを造りたい」という想いを抱いて立ち上げた醸造所です。自然の水と地元の素材、無ろ過・無清澄の手法で、舌に残る“生きたビール”を醸しています。

醸造のこだわり・背景

  • 無ろ過・無清澄:酵母を取り除かず、清澄剤を使わずに自然沈降させることで、酵母がビールに残す風味や余韻を大切にしています。 

  • 地元素材の活用:ホップの一部を藤野産で栽培。ゆずや茶葉など、地域の香りが“この土地らしさ”をビールに刻む。 

  • 小さいからこその自由さと丁寧さ:100L規模で仕込む少量生産、手作業での工程を多く取り入れており、個性とバッチごとの違いが感じられる。 

👉 詳しくはこちら:Jazz Brewing Fujino 公式サイト

ケンズブルワリー(クラフトビール)

 

相模原・矢部の街角に、2022年春に誕生したブルワリー兼ビアバー。地元「矢部」「西門商店街」の風景と、人のあたたかさを大事に、毎日8種類ほどの個性あふれるクラフトビールを提供しています。店内は程よくカジュアルで居心地よく、カウンターやテーブル席でゆったりと過ごせる空間。外は夜風と桜並木、内は発酵香とグラスのきらめき。そんな対比も楽しい一軒です。

店の魅力・雰囲気

  • 地元愛&コミュニティ:看板ロゴに相模原市の地形が象られていたり、地域の素材を料理やおつまみに取り入れていたり。地元の人が“我が家感覚”で訪れる場所。 

  • タップ数とゲストビールの構成:自家醸造ビールが6〜8種類、加えてゲストビール(他所の醸造所のもの)も用意されており、飲み比べ・新しい発見のチャンスが多い。 

  • フードとの相性重視:ソーセージ盛り、高座豚ベーコンステーキ、チーズ盛り合わせなど、クラフトビールと相性のいい料理が揃っていて、ビール一本・二本を期待以上に引き立てる。

👉 詳しくはこちら:ケンズブルワリー 公式サイト


相模原は、グラスの向こうにある。

普段、東京で暮らす人にとって、相模原は「少し遠くの自然豊かなまち」かもしれません。
でも、その距離が**“グラス一杯”で縮まる**。

都会では味わえないピュアな水と、造り手の情熱、土地の歴史──
休日にでも、お酒が生まれた土地を訪ねてみてください。
その旅のきっかけになる一杯が、きっと見つかります。


 

🍶 “潤水都市さがみはらの酒”で、五感が潤う夜を。