「CAMPERLAB(カンペールラボ)」2026SSコレクションキャンペーンを公開

 

輪郭の整いすぎたビジュアルが氾濫するいま、あえて“未完成”に踏み込むこと。それ自体が、強い意志の表明になる。CAMPERLABの2026年SSキャンペーンは、その好例だ。

今季の表現軸は、手書きのノイズやグリッチをまとった“直感”。磨き上げられた完成形ではなく、むしろ歪みや違和感を積極的に残すことで、「見かけ」と「現実」のあいだに潜む緊張をあぶり出す。舞台はネオンの残光と、夢の抜け殻が漂う無機質な都市。そこに置かれるのは、トロンプルイユのデニムスーツと“トルネード”スニーカーをまとった登場人物たちだ。現実と虚構が擦れ合うその空気は、どこか息苦しく、しかし妙にリアルでもある。

クリエイティブを束ねるのは、ブランドの視覚言語を更新し続けてきたマウ・モルゴセサル・ロドレス。そこにノア・マンフレディの手描きのキャラクターが重ねられ、デジタルとアナログが溶け合う。イラストと背景の境界は意図的に曖昧化され、視覚は常にわずかな違和感を孕み続ける。この“ズレ”こそが、キャンペーンの核だ。

登場する3人のキャラクターもまた、その曖昧さを体現している。
ベージュのデニムスーツを纏うのは、どこか他者と距離を取りながらも、なぜか周囲を惹きつけてしまう人物。猫と心を通わせるような静かな気配をまといながら、自身の魅力には無自覚だ。

バーガンディのスーツの人物は、成果主義にすり減らされた現代の労働者像。評価されるために削り続ける日常の中で、自分の価値を見失いかけている。

そしてグレーのスーツの人物は、過剰な自己演出と不器用さが同居する存在。善良であろうとする意志とは裏腹に、その振る舞いはしばしば他者を遠ざける。

いずれも誇張されたキャラクターでありながら、どこか現実の断片を引きずっている。
歪んだグリッドのチェック柄が象徴するのは、秩序の中に潜む不確かさだろう。

ファッションのキャンペーンでありながら、ここで提示されているのは“服の物語”ではない。
むしろ、都市に生きる人間の不安定な輪郭そのものだ。