大阪・心斎橋に誕生した「ハウス オブ ディオール心斎橋」。その中心に静かに息づくレストラン「ムッシュ ディオール」は、ファッションとガストロノミーが優雅に交差する、まるで旅先のサロンのような存在だ。建築家ピーター・マリノが手がけた空間は、クリスチャン・ディオールが生涯愛した庭園への賛歌。柔らかな光、曲線の美学、そしてメゾンを象徴するコードが、時間の流れさえもゆるやかに変えていく。
この特別な舞台でメニューを監修するのは、世界で最も多くミシュランの星を持つ女性シェフ、アンヌ=ソフィー・ピック。ディオールを象徴する「カナージュ」やオーバルモチーフ、レオパードプリントといった意匠をインスピレーションに、クチュールの感性を皿の上へと昇華させた。
彼女の料理は、単なるフランス料理ではない。幼い頃に日本で出会った香りや余韻、繊細な旨味の記憶が、フレンチの技法と重なり合い、一皿ごとに詩のような余白を生み出している。味覚だけでなく、香り、質感、空気感までもが静かに共鳴するコースは、五感を目覚めさせる没入型の体験そのもの。
「ムッシュ ディオール」で過ごす時間は、レストランというより、一夜限りの美しい旅に近い。



